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【心を護る著作権】「著作人格権」を徹底解説!あなたの作品、勝手に変えられていませんか?

著作権の基礎

「著作権」と聞くと、音楽やイラストの無断使用を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、著作権には実は「財産権」と「人格権」という2つの重要な側面があります。

特に著作人格権は、著作者が作品に込めた思いやその名誉、感情といった『心』の部分を護るための権利です。この権利を理解することは、著作者にとっても、著作物を利用する側にとっても、予期せぬトラブルを避ける上で非常に重要になります。

この記事では、著作人格権の基本から著作者の心を護る3つの具体的な権利、そして注意すべきポイントや事例までを、初めての方にもわかりやすく解説します。これを読めば、著作物を正しく利用し、余計なトラブルを避けるための基礎知識がしっかり身につくでしょう。

1. 著作人格権とは?

著作人格権(ちょさくじんかくけん)とは、著作物を創作した著作者の人格的利益を保護するための権利です。
著作権と聞くと、作品をお金に換えるための権利(財産権)を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。

著作権には大きく分けて次の2つの側面があります。

  • 著作財産権:著作物を複製・公衆送信・上映・譲渡などして利益を得る権利
  • 著作人格権:著作物が著作者の意思や名誉を害されないようにするための権利

つまり、著作人格権は作品に込められた著作者の思想や感情、プライドを守るために存在する権利なのです。お金の話ではなく、まさに著作者の「心」に深く関わる部分と言えるでしょう。

著作人格権と著作財産権の違いをわかりやすく比較

著作財産権 著作人格権
著作物を複製・上映・販売する権利
(お金に関わる権利)
著作物をどう扱われるか決める権利
(著作者の名誉・感情を守る)
第三者に譲渡や相続ができる 譲渡・相続できない(著作者だけの権利)
一定期間後(死後50年または70年)に消滅 著作者が生存している間保護され、死後も名誉を害する行為は禁止される

著作権法では、著作人格権は著作者がその著作物について有する、その名誉又は声望を害されないために著作物を保持・支配する権利であるとされています。

このように、著作人格権は単に「お金を稼ぐ権利」ではなく、著作者自身の心情を守るための重要な権利です。だからこそ、著作物を利用する側(企業や個人)も、財産権だけでなく人格権に十分配慮する必要があるのです。

2.著作者の心を護る3つの権利

著作人格権には、著作者の名誉や心情を護るために認められた3つの重要な権利があります。
具体的には、以下の通りです。

  • 公表権
  • 氏名表示権
  • 同一性保持権

それぞれの権利について、わかりやすく事例を交えながら解説していきます。

(1)公表権

公表権とは、自分の著作物をいつ・どこで・どのように公表するかを決める権利です。
著作物を初めて世に出すタイミングや方法を、著作者が自由に決めることができるのです。

漫画家アイコン
例えば、まだ世に出していないイラストを知人が勝手にSNSにアップしたら…それは公表権の侵害になるんだよ。

このように、たとえ善意であっても、著作者の許可なしに未公開作品を公表するのはNG
公表権は、著作物が著作者の意思を尊重して初めて世に出るべき、という権利です。

(2) 氏名表示権

氏名表示権とは、著作物を公表するときに自分の名前を出すかどうか、あるいはどのように表示するかを著作者が決められる権利です。

漫画家アイコン
無署名で作品を発表されたり、逆に全く別の名前で公開されたりすると、氏名表示権の侵害になるんだ。

例えば、企業がデザイナーにロゴ制作を依頼したのに、そのデザイナー名を一切記載せずに発表した場合やまったく別人の名前で発表した場合も、氏名表示権を侵害する行為に該当します。

(3) 同一性保持権

同一性保持権は、著作物の内容やタイトルを、著作者の意思に反して勝手に変えられない権利です。

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例えば、イラストの色を勝手に加工したり、一部だけ切り抜いて別の作品に合成したりするのもNG。
著作者の意図を損なう改変は許されないんだよ。

ただし、合理的な範囲でのトリミングや色補正など、著作者があらかじめ許諾した場合は問題ありません。この点については、契約や利用規約で具体的に合意しておくことがトラブル防止に繋がります。

3.著作人格権の注意点とトラブル例

著作人格権は、著作者の「心」に深く関わる権利です。
そのため、著作財産権のように単純に「譲渡」や「売買」ができないという特徴があります。
ここでは、著作人格権を扱う上で注意しておきたいポイントや、実際に起こりがちなトラブル例について解説します。

(1) 譲渡はできないが、放棄(不行使)はできる

著作人格権は、著作権法第59条で「著作者のみに専属する権利」と定められています。
つまり、財産権のように他人へ譲渡することはできません。

漫画家アイコン
でも実は、契約で「この著作人格権は行使しません」と約束する(放棄)ことはできるんだ。
企業との契約書でよく見る「著作人格権を行使しない」って条項がそれなんだよ。

この条項を入れることで、企業側はデザインや映像を自由に改変できるようになります
しかし、あまりに著作者の意に反した改変をすると、後から訴訟に発展するケースも少なくありません。そのため、契約内容はできるだけ具体的に決めておくことが大切です。

(2) こんなトラブルに注意

著作人格権に関するトラブルは、特にデザインや映像・音楽制作の現場で多く見られます。
代表的なものをいくつか紹介します。

  • 未公開のイラストを勝手にSNSに投稿された
    公表権の侵害
  • 自分の名前が表示されずに作品が使われた
    氏名表示権の侵害
  • デザインを勝手に色替え・レイアウト変更された
    同一性保持権の侵害
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こうしたトラブルは「ちょっとしたこと」と思っても、著作者にとっては大きな精神的苦痛になることも多いんだよ。
最悪、慰謝料請求や差止め請求を受けるリスクもあるから注意が必要だね。

(3)企業やフリーランスが気をつけるべきポイント

企業が外部クリエイターにデザインやイラストを発注する場合、契約書に著作人格権に関する条項を必ず盛り込むのが基本です。

例えば以下のような条項がよく使われます。

著作者は、本件著作物について、著作人格権を行使しないものとする。

ただし、これだけでは不十分なこともあります。
具体的にどこまで改変可能なのか、あるいはどういう表示をするのかなど、細かく取り決めておくことが後々のトラブル防止に繋がるでしょう。

漫画家アイコン
契約書をしっかり作っておかないと、いざというときに「そんなつもりじゃなかった!」と揉めてしまうから要注意だね。

まとめ

著作人格権は、著作物を創作した著作者の心や名誉を護るための権利です。
具体的には、以下の3つの権利があります。

  • 公表権(いつ、どのように世に出すかを決める権利)
  • 氏名表示権(名前を載せるかどうかを決める権利)
  • 同一性保持権(内容を勝手に改変されない権利)

これらの権利は、著作財産権とは異なり、譲渡や相続ができない著作者だけが持つ専属の権利です。

著作物を利用する際は、著作財産権だけでなく著作人格権にも十分に注意し、必要に応じて契約書で取り決めを行うことでトラブルを未然に防げます。クリエイターも利用者も、お互いに気持ちよく作品を活かすためにもこれらの権利の基本をぜひ覚えておきましょう。

 

 


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