「画像は確認してから使っています」——そう答える自治体のSNS担当者は多いはずです。しかし、「誰が」「いつ」「何を根拠に」確認したかを、後から証明できますか?
SNSの著作権リスクは「確認するかどうか」だけでなく、「確認した事実を記録するかどうか」にあります。本記事では、自治体のSNS運用で見落とされがちな著作権確認・記録の問題を解説します。
・SNS投稿で著作権侵害が起きる3つのパターン
・「確認した」だけでは不十分な理由
・記録が組織を守る仕組みになる理由
・担当者交代後もリスクを残さない管理フロー
・組織として著作権確認を仕組み化するステップ

1.SNS投稿で著作権侵害が起きる3つのパターン
パターン①:ネット上の画像の無断使用
「フリーっぽい」「よく見かける」という理由でGoogle画像検索から拾った画像をそのまま投稿に使うのは、複製権・公衆送信権の侵害になります。画像に著作権表示がなくても、著作権は創作時点で自動的に発生します(著作権法17条2項)。
パターン②:イベント写真・参加者の肖像
自治体主催イベントで撮影した写真には、参加者の肖像が映り込みます。肖像権は著作権とは別に存在し、公式SNSへの掲載は「公衆送信」にあたるため、事前の同意なき掲載はトラブルの原因になります。
パターン③:他機関・メディアのコンテンツの転載
他自治体の広報誌、新聞・ニュースサイトの記事、ポスターのデザインなどを「情報共有」としてSNSで転載するケースがあります。公共性のある情報であっても、無断転載は著作権侵害になります。
2.「確認した」だけでは組織を守れない
口頭やチャットで「この画像使っていいですか?」「大丈夫です」とやり取りしていても、担当者が変われば確認の根拠は消えます。後から「誰がどの画像をどのライセンスで承認したか」を追跡できなければ、確認したことにはなりません。著作権侵害が問題になったとき、「確認しました」という主張は証拠がなければ通りません。記録のない確認は、確認していないのと同じリスクを持ちます。
3.組織として記録する仕組みを作る
SNS投稿の著作権確認を「記録として残す」には、投稿フロー自体に確認ステップを組み込む必要があります。
① 使用する画像・動画の出所とライセンスを投稿担当者が確認
② 確認内容(素材名・ライセンス種別・確認日・確認者)を管理台帳に記録
③ 承認者が台帳を確認してから投稿を承認
④ 投稿後も台帳を保持し、引き継ぎ時に渡す
4.担当者交代後もリスクを残さないために
SNS担当者が異動・退職すると、過去の投稿に使った素材の著作権情報が引き継がれず、次の担当者は同じ素材を再利用してよいか判断できません。個人のPCやメモにしか残っていない確認記録は、担当者交代の瞬間に失われます。組織として著作権確認を記録する仕組みを整えることが、こうした「引き継ぎ断絶リスク」を防ぐ唯一の方法です。
よくある質問(FAQ)
・A. プラットフォームのリポスト・シェア機能を使う場合は、利用規約上適法とされることが多いです。ただし、スクリーンショットを撮って別投稿として上げる行為は複製権・公衆送信権の侵害になり得ます。
・A. 使用期間中は必ず保持し、使用停止後も3〜5年程度保存することを推奨します。著作権の保護期間(死後70年)に比べれば短いですが、実務上のトラブル対応期間をカバーできます。
・A. 肖像権の観点から、参加者が識別できる写真の掲載には同意が望ましいとされます。実務上は、イベント告知時に「写真・動画を広報目的で使用する場合がある」旨を明示するか、撮影・掲載同意書を活用する方法が一般的です。




