二次利用とは?著作物の許諾範囲と契約書の書き方を実務解説

素材・商用利用の実務

📖 このテーマの全体像は 素材の商用利用 完全ガイド でまとめています。


二次利用とは、最初に許諾された範囲(一次利用)を超えて、同じ著作物を別の媒体・目的・期間で使うことです。著作権法に「二次利用権」という権利はありません。問題になるのは、複製権(第21条)や公衆送信権(第23条)などをどこまで許諾してもらっていたかという、許諾の範囲です(第63条第2項)。

「広告用に撮った写真をWebにも載せたら、撮影者から追加の利用料を求められた」「パンフレット用のイラストを動画に流用したら、使用の停止を求められた」。どちらも、使う前に許諾範囲を確かめていれば避けられた場面です。古い素材ほど、確かめる手がかりは減ります。

この記事では、二次利用で関わる権利と条文、商用利用との違い、契約書の8条項を整理します。そのうえで、許諾範囲が分からない過去の素材を確かめる5ステップを解説します。個別の案件は、著作権に詳しい弁護士などの専門家に相談してください。

この記事でわかること
・二次利用の意味と、行為ごとに働く権利・条文
・「商用利用OK」の素材でも、二次利用で止まる使い方
・許諾範囲の4軸(媒体・期間・目的・地域)と、契約書に入れる8条項
・許諾範囲が分からない過去の素材を確かめる5ステップと、残す記録
・二次利用でよくある誤解5つ
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パンフレット用に買ったイラストだけど、うちが料金を払ったんだからSNSにも動画にも使っていいよね?——実はそれ、許諾範囲次第。支払ったのは「パンフレットに使う許諾」の対価かもしれない。範囲外の利用は、お金を払っていても無断利用になるんだ。

1.二次利用とは?——著作権法に「二次利用権」は無く、許諾範囲の問題になる

二次利用は、著作権法に定義のない実務用語です。著作権法の本則には「二次利用」という言葉自体が出てきません(2026年10月1日、e-Gov法令検索で編集部確認)。著作権者が持つのは第21条〜第28条の複製権・公衆送信権などで(第17条第1項)、「二次利用権」という権利はありません。

実体は利用許諾(ライセンス)の範囲の問題です。第63条第2項は、許諾を得た者は「許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において」利用できると定めています。裏返せば、範囲の外側の利用は、対価を払っていても無断利用です。引用などの権利制限規定(第30条〜第47条の7)にあたらない限り、複製権などの侵害になりえます。

「一次利用」「二次利用」という区別は、この許諾範囲の内側か外側かを指しています。

意味 例
一次利用 当初の契約で許諾された利用 「会社案内パンフレットに掲載」として発注したイラストをパンフレットに使う
二次利用 当初の許諾範囲を超える利用 同じイラストをWebサイト・SNS・展示会動画に流用する

「二次的著作物」との違い

似た言葉に「二次的著作物」がありますが、まったくの別概念です。二次利用は同じ作品の使い回し(許諾範囲の問題)、二次的著作物は翻訳・編曲・翻案など新たな創作を加えた別作品(第27条・第28条の問題)です。イラストをそのままSNSに転用するのは二次利用、イラストを改変してキャラクター化するのは翻案=二次的著作物の創作にあたります。改変が絡む場合の権利関係は「翻案権とは?——改変・二次創作・AIリライトの法的ルール」で詳しく解説しています。

二次使用・二次配布・流用——似た言葉の違い

条文に出てくるのは「二次的著作物」と、商業用レコードの「二次使用料」(第95条・第97条)です。ほかは実務の言葉です。

言葉 実務での意味 著作権法との関係
二次使用 二次利用とほぼ同じ意味で使われることがある 条文の「二次使用料」は、商業用レコードを放送に使った放送事業者などが、実演家・レコード製作者に支払うもの
二次配布(再配布) 入手した素材そのものを、他人が使える形で配ること 複製権・公衆送信権などの問題。フリー素材の規約で禁止されやすい(3章)
流用 作ったものを別の目的に使うこと 著作権の文脈では、二次利用とほぼ同じ場面を指す
二次創作 元の作品をもとに、新しい作品を作ること 翻案権(第27条)の問題。できた作品は二次的著作物
テーブルに重ねて置かれた風景写真のプリント——同じ写真を別の媒体で使う二次利用
Photo by sarandy westfall on Unsplash

2.二次利用で関わる著作権はどれか——行為別に働く権利と条文

二次利用で働く権利は、何をするか(行為)で決まります。確かめる問いは「この写真を使ってよいか」ではなく、「この行為が許諾に含まれるか」です。

二次利用の行為 主に関わる権利(条文) 許諾で確かめる点
Webサイトに掲載する/SNSに投稿する 複製権(第21条)、公衆送信権(第23条。送信可能化を含む) 媒体に「Web」「SNS」が入っているか。どのサイト・アカウントまでか
チラシ・冊子に印刷して配る 複製権、譲渡権(第26条の2) 印刷物が媒体に入っているか。部数・配布先
トリミング・色調整・文字入れをする 同一性保持権(第20条)。作り替えの程度によっては翻案権(第27条) 改変の可否と範囲。不行使特約の有無
動画に組み込む/会場で上映する 複製権、上映権(第22条の2)。配信するなら公衆送信権 動画・上映・配信が媒体に入っているか
グッズ・商品にする 複製権、譲渡権 商品化が目的に入っているか
キャラクター化・翻訳など、別の作品に作り替える 翻訳権・翻案権(第27条)。作った作品の利用には第28条 改変・二次創作が許諾に入っているか
著作者名の表示を変える・外す 氏名表示権(第19条) クレジット表記の要否と方法

同一性保持権と氏名表示権は著作者人格権で、譲渡できません(第59条)。著作権の譲渡を受けても著作者に残るため、改変を予定する素材は5章の⑦(不行使特約)まで確かめます。

許諾を受けた側の利用権も、著作権者の承諾がなければ譲渡できません(第63条第3項)。グループ会社や代理店に使わせるなら、再許諾を認める条項が要ります(5章の④)。

3.商用利用と二次利用はどう違うか——「商用OK」でも二次利用で止まる場面

商用利用は「目的」の話、二次利用は「許諾範囲の内か外か」の話です。「商用利用」も著作権法の条文には出てこない、規約や契約の言葉です。「商用利用可」で分かるのは4軸のうち目的だけで、媒体・改変・再配布・商標としての使用は別の条項で決まります。

無料で使える代表的な写真素材サイト3つも、次の使い方は規約で禁じています(各サイトのライセンスページの要旨・2026年10月1日編集部確認)。

サイト 規約が認めていること 規約で禁じている主な使い方
Pexels 無料・クレジット任意・加工可 加工しないままポスターや商品として販売する/他のストックフォト・壁紙サイトで再配布・販売する/商標・ロゴ・商号の一部に使う
Pixabay 無料・クレジット不要・加工可 単体で販売・配布する(デジタル・物理とも)/商標・ロゴ・商号の一部に使う/商標やロゴが写ったものを、商品・サービスに関して商用で使う
Unsplash 無料・商用可・許可不要 大きな加工をせずに販売する/画像を集めて、類似・競合するサービスを作る

3サイトに共通して止まりやすいのは、素材そのものの再配布・販売と、ロゴ・商標としての使用です。「商用OK」の写真を後から会社のロゴやノベルティに使うと、目的は範囲内でも、使い方で範囲を外れます。

日本の商用で使うときの注意点(肖像権を含む)は「Pexels・Pixabayを日本の商用で使うときに知っておくべきこと」で解説しています。素材全般のライセンスの考え方は「素材の商用利用 完全ガイド」にまとめています。

4.許諾範囲の考え方——4つの軸で特定する

許諾範囲は媒体・期間・目的・地域の4軸で特定するのが実務の基本です。契約書にこの4軸が書かれていないと、「どこまでが一次利用か」自体が争いになります。

軸 確認する内容 曖昧だと起きること
媒体 印刷物・Web・SNS・動画・屋外広告など、使える媒体の列挙 「広告に使える」の一言では、Web広告・交通広告・SNSの線引きで揉める
期間 利用開始日と終了日(または無期限の明記) キャンペーン終了後もバナーが残り続けて期間超過になる
目的 宣伝・社内利用・再販売など利用目的 社内資料用の素材を対外プレゼンに使って範囲外になる
地域 国内限定か、海外展開を含むか 海外子会社のサイト掲載が範囲外になる

タレント・モデルが写る素材では、この4軸の管理がさらに重要になります。写真の著作権処理に加えて、肖像権・パブリシティ権の許諾も期間・媒体単位で契約されるのが通常だからです。契約期間が切れたタレント写真の使用は、著作権より先にパブリシティ権の問題として顕在化します。詳しくは「パブリシティ権とは?肖像権との違い・判例・AI時代の論点」をご覧ください。

5.契約書に入れるべき条項——8点セット

二次利用のトラブルを防ぐ契約条項は、次の8点に整理できます。発注時(一次契約)にこの8点を決めておけば、二次利用の交渉は「追加するだけ」で済みます。

利用許諾契約の8条項
①利用範囲(媒体・期間・目的・地域の4軸で列挙)
②改変の可否(トリミング・色調整・文字入れの範囲)
③クレジット表記の要否と表記方法
④再許諾(サブライセンス)の可否——グループ会社・代理店に使わせられるか
⑤対価(一次利用の対価と、二次利用時の追加料金の目安)
⑥権利帰属(許諾か譲渡か。譲渡なら第27条・第28条の特掲)
⑦著作者人格権の不行使特約
⑧第三者の権利処理(肖像権・パブリシティ権・写り込み素材)の責任分担

⑥は後から直しにくい条項です。著作権譲渡を受ける場合、翻案権(第27条)と二次的著作物利用権(第28条)は、譲渡の目的として明記(特掲)しないと譲渡人に留保されたと推定されます(第61条第2項)。「著作権一切を譲渡する」だけの条項では、改変を伴う二次展開ができない事態が起こりえます。外注契約の権利確保は「外注したデザインの著作権は誰にある?——発注で見落とす権利の罠」で詳しく扱っています。

⚠️ 二次利用の典型トラブル

  • 「買い取りのつもりだった」——請求書に「イラスト制作費」とあるだけでは、譲渡か許諾かすら決まっていません。書面で確認していない発注は許諾(しかも範囲不明)と扱われがちです
  • グループ会社への横展開——許諾を受けたのは契約当事者だけ。再許諾条項がなければ、子会社・代理店の利用は範囲外です
  • ストック素材の規約変更・追加ライセンス——サイトごとに「拡張ライセンス」が必要な用途(商品化・テンプレート販売等)が定められています。部署ごとにバラバラに購入していると管理できません。「ストック素材のライセンス、部署ごとにバラバラになっていませんか?」で対策を解説しています

代金を払っても著作権は移らない——発注者が誤解しやすい点

著作権は、作品を創作した著作者が持ちます(第17条第1項)。譲渡の合意がなければ、代金を払っても著作権は制作者に残るのが原則です(譲渡は第61条第1項)。例外は職務著作です。社員や職員が職務として作り、法人等の名義で公表するものなどは、要件を満たせば法人等が著作者になります(第15条)。要件は「職務著作とは?——5要件と実務を解説」で整理しています。

譲渡の書き方は、文化庁の「著作権テキスト(令和8年度版)」が例を示しています。第27条・第28条も含めるなら、契約書に「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と記載する必要がある、という説明です。

紐で束ねられて積み重なった古い書類の束——許諾範囲が分からない過去の素材
Photo by Sear Greyson on Unsplash

6.許諾範囲が分からない過去の素材は、どう確かめるか——二次利用の前の5ステップ

契約書が見つからない過去の素材は、出所、当時の許諾条件、今回の使い方の順に照らし、結果を記録に残してから使うかどうかを決めます。数年前の広報誌の写真や、前任者が発注したイラストがその例です。

では、確かめようがないとき、何を頼りにすればよいのでしょうか。

漫画家アイコン
「前の担当者が『この写真は自由に使っていい』って言ってたから、Webに載せても大丈夫だよね?」
実はそれ、範囲を示す記録がなければ、Web掲載が範囲内かどうか誰にも確かめられないんです。

ステップ1 出所を特定する——誰が作り、どこから入手したか

手がかりは、発注書・見積書・支払いの記録・納品メール、ストックサイトの購入履歴です。職員が職務で撮ったのか、委託先か、住民の提供かで、権利を持つ人が変わります。

ネットから保存された疑いのある画像は、類似画像検索で元の掲載先を探します。手順は「AI画像の著作権チェック方法5ステップ」のステップ3にあります。

ステップ2 当時の許諾条件を取り出す——規約は「入手した時点の版」で読む

当時の契約書・発注仕様・利用規約から、4軸と改変・再許諾の可否を書き出します。素材サイトの規約は改定されることがあるため、読むのは入手した時点の版です。

制作会社が著作権を他社に譲っていても、当時の許諾は新しい著作権者に対抗できます(第63条の2)。ただし、2020年10月1日の施行より前に著作権を取得した者には対抗できません(令和2年改正法附則第8条)。

ステップ3 今回の使い方を4軸で書き出し、当時の条件と照らす

今回の使い方を4軸と改変の有無で書き出し、ステップ2の条件と1行ずつ照らします。結果は「範囲内」「範囲外」「不明」に分けます。たとえば「2019年度の広報誌用に委託撮影した写真を、2026年度の市のWebとSNSに使う」なら、照らすのは媒体と期間の2点です。

ステップ4 範囲外・不明なら、相談するか差し替える

「範囲外」か「不明」が1つでもあれば、そのままは使わず、次の3つから選びます。

  1. 著作権者に追加の許諾を相談する——今回の媒体・期間・目的を示し、合意を書面に残す
  2. 差し替える——権利関係が明確な素材や、撮り直した写真に替える
  3. 使わない——掲載期限までに確認が間に合わなければ、見送るのも判断の1つ

著作権者が分からない、連絡がつかない場合は、文化庁長官の裁定を受けて利用する制度があります(第67条)。2026年4月からは、著作権者の意思が確認できない著作物を対象とする「未管理著作物裁定制度」(第67条の3)も使えるようになりました。こちらの利用期間は3年が上限です。補償金は、どちらの制度でも指定補償金管理機関(公益社団法人著作権情報センター)に支払います。2026年4月以降の申請では、国や地方公共団体も支払いが必要です(第104条の21)。いずれも、権利者を探す措置をとったことが前提の手続きです。

ステップ5 確かめた結果を記録に残す

最後に、誰が・いつ・どの資料で・何を確かめ・どう判断したかを残します。判断が「使う」でも「差し替える」でも残せば、次の担当者はステップ1〜4をやり直さずに済みます。

💡 二次利用の確認記録に残す6項目

  1. 素材の特定(ファイル名・保存場所)
  2. 出所と根拠資料(著作者・入手元・入手日、発注書や購入履歴)
  3. 当時の許諾条件と、規約の版・取得日
  4. 今回の使い方(媒体・期間・目的・地域)
  5. 照らした結果と判断、著作権者とのやり取り
  6. 確認した人と確認日

置き場所は、個人のPCではなく組織の共有台帳にします。担当者が代わっても「確認した」ことを示せるのは、この記録です。

立場別:まず確かめたい1点

立場 よくある場面 まず確かめたい1点
自治体・公的機関 委託先が撮った写真を、Webやオープンデータで公開する 委託契約での著作権の帰属と、住民・事業者の二次利用まで含めた権利処理。デジタル庁「公共データ利用規約(第1.0版)」では、第三者が権利を持つものは、権利処理済みと明示しない限り利用者が許諾を得る扱い
企業の法務・コンテンツ担当 過去のキャンペーン素材を、グループ会社・代理店・海外拠点で使う 再許諾と地域の条項。許諾を受けたのが自社だけなら、他社の利用は範囲外
制作会社・クリエイター 納品物を、自社の実績(ポートフォリオ)に載せる 著作権を譲渡したか、許諾にとどまるか。譲渡していれば、掲載に発注者の許諾が要る場合がある

自治体の共有フォルダに残った素材の引き継ぎは「引き継ぎは口頭一言——自治体の共有フォルダに潜む画像の積み残しリスク」で扱っています。

7.素材別チェックポイント——写真・イラスト・記事・映像

素材の種類によって、二次利用で確認すべき権利のレイヤーが変わります。

素材 著作権以外に確認するもの
人物写真 肖像権・パブリシティ権の許諾期間と媒体(モデルリリースの範囲)
イラスト・デザイン 改変可否(翻案)・クレジット・作者のポートフォリオ掲載権
記事・原稿 転載範囲・要約や抜粋の可否・執筆者の氏名表示
映像・音声 出演者の肖像権、BGM・ナレーション等に含まれる著作隣接権(原盤・実演)

映像は特に権利が重層的です。1本のプロモーション動画には、映像の著作権、出演者の肖像権、BGMの著作権と原盤権が同居しており、「動画の二次利用OK」の合意だけでは音楽部分の権利処理が漏れることがあります。

8.二次利用でよくある誤解5つ

実務でつまずきやすい誤解を5つ挙げます。いずれも一般的な整理で、個別の結論は契約の文言と事実関係で変わります。

⚠️ 二次利用でよくある誤解

  1. 「代金を払った(買い取った)から、どの媒体に使ってもよい」——支払いが許諾の対価なら、使えるのは許諾の範囲だけです(第63条第2項)。書類に「買い取り」とあるだけでは、譲渡か、範囲を決めた許諾かが決まりません。
  2. 「社内資料・社内報なら許諾は要らない」——私的使用(第30条)は、文化庁の解説では「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外で使用することを目的として」本人が複製する場合の例外です。業務は含まれません。自治体の内部資料には第42条の例外がありますが、広報誌やWebでの公開は対象外です。
  3. 「クレジット(出典)を入れれば使ってよい」——出所の明示(第48条)は、引用(第32条)などの権利制限規定で使うときの義務です。出典を書いても、許諾の代わりにはなりません。
  4. 「少し加工すれば、別の作品として使える」——トリミングや文字入れは同一性保持権(第20条)の問題です。元の作品をもとにした作り替えは、翻案権(第27条)の問題にもなりえます。加工すると、確かめる権利はむしろ増えます。
  5. 「前の担当者がOKと言っていた」——文化庁の解説によれば、許諾は口頭でも契約として成立します。ただ、範囲(媒体・期間・目的)が記録になければ、今回の使い方が範囲内かを確かめられません。答えは6章のステップ5の記録です。

9.まとめ

二次利用は著作権法の用語ではなく、「許諾範囲の外側の利用」を指す言葉です。実務の要点は3つ。①発注時に媒体・期間・目的・地域の4軸で利用範囲を書面化する。②譲渡を受けるなら第27条・第28条の特掲と人格権不行使特約を忘れない。③人物・音楽が絡む素材は著作権以外の権利(肖像権・原盤権)も期間管理する。「払ったから使える」ではなく「許諾の範囲を示せるから使える」——二次利用の判断基準はこの一点です。

契約書が見つからない過去の素材は、次の5ステップで確かめてから使います。①出所を特定する。②当時の許諾条件を取り出す。③今回の使い方と照らす。④範囲外・不明なら相談するか差し替える。⑤結果を記録に残す。

よくある質問(FAQ)

Q1. 二次利用とは何ですか?
・A. 最初に許諾された範囲(一次利用)を超えて、同じ著作物を別の媒体・目的・期間で使うことを指す実務用語です。著作権法に「二次利用権」という権利はなく、問題になるのは複製権・公衆送信権などをどこまで許諾されているかです。範囲外の使い方には、改めて著作権者の許諾が必要です。
Q2. 二次利用と二次的著作物は同じですか?
・A. 別物です。二次利用は同じ著作物を別の場面で使い回すことで、許諾範囲の問題です。二次的著作物は、翻訳・編曲・翻案などによって元の著作物から新たに創作した作品で(著作権法第2条第1項第11号)、第27条・第28条が関係します。
Q3. 広告用に撮影した写真を自社サイトにも使えますか?
・A. 契約次第です。撮影契約で許諾された媒体が「広告のみ」なら、サイト掲載は許諾範囲外の二次利用で、撮影者(著作権者)の追加の許諾が必要になるのが原則です。人物が写っている場合は、モデル側の許諾範囲も確認してください。
Q4. 著作権を譲渡してもらえば二次利用の問題はなくなりますか?
・A. 著作権の問題はほぼ解消しますが、注意点が2つあります。翻案権(第27条)と二次的著作物の利用に関する権利(第28条)は、契約で特掲しないと譲渡した側に留保されたと推定されること(第61条第2項)と、著作者人格権は譲渡できないため不行使特約が必要なこと(第59条)です。人物写真では肖像権・パブリシティ権も別に残ります。
Q5. 二次利用の契約書にはどんな条項が必要ですか?
・A. 利用範囲(媒体・期間・目的・地域)、改変の可否、クレジット表記、再許諾の可否、対価、権利帰属、著作者人格権の扱い、肖像権など第三者の権利の処理の8点が基本です。媒体と期間は具体的に列挙してください。文化庁は「著作権契約書作成支援システム」を公開しています。
Q6. フリー素材にも二次利用の制限はありますか?
・A. あります。フリー素材の「無料」は利用規約の条件内での話です。素材単体での再配布・販売や、ロゴ・商標としての使用は、主要な写真素材サイトの規約でも禁止されています。規約の範囲を超える使い方は、有償素材と同じく許諾範囲外の利用です。
Q7. 二次使用・二次配布は二次利用と何が違いますか?
・A. 二次使用は、実務では二次利用とほぼ同じ意味で使われることがあります。ただし著作権法の条文にある「二次使用料」は、放送事業者などが商業用レコードを放送に使ったときに実演家やレコード製作者へ支払うもの(第95条・第97条)です。二次配布は、入手した素材そのものを他人が使える形で配ることで、フリー素材の規約で禁止されやすい使い方です。
Q8. 二次利用料はどう決まりますか?相場はありますか?
・A. 個別の許諾の料金を定めた法律はなく、著作権者との合意で決まります。文化庁の解説も、利用目的や方法によって使用料が高額になる場合も、無償または低廉になる場合もあるとしています。音楽のように著作権等管理事業者が管理している著作物は、その事業者の使用料規程に従います。見積もりを取る前に、媒体・期間・部数・地域を書面にまとめてください。
Q9. 許諾範囲が分からない過去の素材は、どうすればよいですか?
・A. 出所の特定、当時の許諾条件の確認、今回の使い方との照合を順に行い、範囲外や不明な点があれば著作権者に相談するか差し替えます。著作権者が分からない場合は、文化庁長官の裁定制度(第67条)もあります。確かめた結果は、誰が・いつ・どの資料で確認したかを含めて記録に残してください。

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