二次利用とは?著作物の許諾範囲と契約書の書き方を実務解説

素材・商用利用の実務

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二次利用とは、最初に許諾された範囲(一次利用)を超えて、同じ著作物を別の媒体・目的・期間で使うことを指す実務用語です。法律上の定義はありません。つまり可否も条件も、すべて契約で決まります

「広告用に撮った写真をWebにも載せたら請求が来た」「納品されたパンフレットのイラストを動画に流用したら警告された」——二次利用のトラブルは、権利の問題である以前に「許諾範囲を確認しなかった」という契約の問題です。そして多くの場合、契約書に利用範囲が書かれていないことが原因です。

この記事では、二次利用の法的な位置づけ、二次的著作物との違い、許諾範囲の考え方、契約書に入れるべき条項、発注側・利用側双方の実務チェックポイントまで解説します。

この記事でわかること
・二次利用の意味——法律用語ではなく「契約で決まる」こと
・紛らわしい「二次的著作物」(第27条・28条)との違い
・許諾範囲の考え方——媒体・期間・目的・地域の4軸
・契約書に入れるべき8つの条項
・写真・イラスト・記事、素材別の二次利用チェックポイント
漫画家アイコン
パンフレット用に買ったイラストだけど、うちが料金を払ったんだからSNSにも動画にも使っていいよね?——実はそれ、許諾範囲次第。支払ったのは「パンフレットに使う許諾」の対価かもしれない。範囲外の利用は、お金を払っていても無断利用になるんだ。

1.二次利用とは——法律ではなく契約の問題

二次利用は著作権法に定義のない実務用語です。実体は利用許諾(ライセンス)の範囲の問題で、根拠条文は著作権法第63条(著作物の利用の許諾)です。同条第2項は「許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において」利用できると定めています。裏返せば、範囲の外側の利用は、対価を払っていても無断利用=著作権侵害(複製権・公衆送信権等の侵害)です。

「一次利用」「二次利用」という区別は、この許諾範囲の内側か外側かを指しています。

意味
一次利用 当初の契約で許諾された利用 「会社案内パンフレットに掲載」として発注したイラストをパンフレットに使う
二次利用 当初の許諾範囲を超える利用 同じイラストをWebサイト・SNS・展示会動画に流用する

「二次的著作物」との違い

似た言葉に「二次的著作物」がありますが、まったくの別概念です。二次利用は同じ作品の使い回し(契約の問題)、二次的著作物は翻訳・編曲・翻案など新たな創作を加えた別作品(第27条・第28条の問題)です。イラストをそのままSNSに転用するのは二次利用、イラストを改変してキャラクター化するのは翻案=二次的著作物の創作にあたります。改変が絡む場合の権利関係は「翻案権とは?——改変・二次創作・AIリライトの法的ルール」で詳しく解説しています。

2.許諾範囲の考え方——4つの軸で特定する

許諾範囲は媒体・期間・目的・地域の4軸で特定するのが実務の基本です。契約書にこの4軸が書かれていないと、「どこまでが一次利用か」自体が争いになります。

確認する内容 曖昧だと起きること
媒体 印刷物・Web・SNS・動画・屋外広告など、使える媒体の列挙 「広告に使える」の一言では、Web広告・交通広告・SNSの線引きで揉める
期間 利用開始日と終了日(または無期限の明記) キャンペーン終了後もバナーが残り続けて期間超過になる
目的 宣伝・社内利用・再販売など利用目的 社内資料用の素材を対外プレゼンに使って範囲外になる
地域 国内限定か、海外展開を含むか 海外子会社のサイト掲載が範囲外になる

タレント・モデルが写る素材では、この4軸の管理がさらに重要になります。写真の著作権処理に加えて、肖像権・パブリシティ権の許諾も期間・媒体単位で契約されるのが通常だからです。契約期間が切れたタレント写真の使用は、著作権より先にパブリシティ権の問題として顕在化します。詳しくは「パブリシティ権とは?肖像権との違い・判例・AI時代の論点」をご覧ください。

3.契約書に入れるべき条項——8点セット

二次利用のトラブルを防ぐ契約条項は、次の8点に整理できます。発注時(一次契約)にこの8点を決めておけば、二次利用の交渉は「追加するだけ」で済みます

利用許諾契約の8条項
①利用範囲(媒体・期間・目的・地域の4軸で列挙)
②改変の可否(トリミング・色調整・文字入れの範囲)
③クレジット表記の要否と表記方法
④再許諾(サブライセンス)の可否——グループ会社・代理店に使わせられるか
⑤対価(一次利用の対価と、二次利用時の追加料金の目安)
⑥権利帰属(許諾か譲渡か。譲渡なら第27条・第28条の特掲)
⑦著作者人格権の不行使特約
⑧第三者の権利処理(肖像権・パブリシティ権・写り込み素材)の責任分担

⑥は特に重要です。著作権譲渡を受ける場合、翻案権(第27条)と二次的著作物利用権(第28条)は、譲渡の目的として明記(特掲)しないと譲渡人に留保されたと推定されます(第61条第2項)。「著作権一切を譲渡する」だけの条項では、改変を伴う二次展開ができない事態が起こりえます。外注契約の権利確保は「外注したデザインの著作権は誰にある?——発注で見落とす権利の罠」で詳しく扱っています。

⚠️ 二次利用の典型トラブル

  • 「買い取りのつもりだった」——請求書に「イラスト制作費」とあるだけでは、譲渡か許諾かすら決まっていません。書面で確認していない発注は許諾(しかも範囲不明)と扱われがちです
  • グループ会社への横展開——許諾を受けたのは契約当事者だけ。再許諾条項がなければ、子会社・代理店の利用は範囲外です
  • ストック素材の規約変更・追加ライセンス——サイトごとに「拡張ライセンス」が必要な用途(商品化・テンプレート販売等)が定められています。部署ごとにバラバラに購入していると管理できません。「ストック素材のライセンス、部署ごとにバラバラになっていませんか?」で対策を解説しています

4.素材別チェックポイント——写真・イラスト・記事・映像

素材の種類によって、二次利用で確認すべき権利のレイヤーが変わります。

素材 著作権以外に確認するもの
人物写真 肖像権・パブリシティ権の許諾期間と媒体(モデルリリースの範囲)
イラスト・デザイン 改変可否(翻案)・クレジット・作者のポートフォリオ掲載権
記事・原稿 転載範囲・要約や抜粋の可否・執筆者の氏名表示
映像・音声 出演者の肖像権、BGM・ナレーション等に含まれる著作隣接権(原盤・実演)

映像は特に権利が重層的です。1本のプロモーション動画には、映像の著作権、出演者の肖像権、BGMの著作権と原盤権が同居しており、「動画の二次利用OK」の合意だけでは音楽部分の権利処理が漏れることがあります。

5.まとめ

二次利用は法律用語ではなく、「許諾範囲の外側の利用」を指す契約の問題です。実務の要点は3つ。①発注時に媒体・期間・目的・地域の4軸で利用範囲を書面化する。②譲渡を受けるなら第27条・第28条の特掲と人格権不行使特約を忘れない。③人物・音楽が絡む素材は著作権以外の権利(肖像権・原盤権)も期間管理する。「払ったから使える」ではなく「書いてあるから使える」——二次利用の判断基準はこの一点です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 二次利用とは何ですか?
・A. 当初許諾された範囲(一次利用)を超えて、同じ著作物を別の媒体・目的・期間で使うことを指す実務用語です。可否と条件は契約で決まります。
Q2. 二次的著作物とは違うのですか?
・A. 別物です。二次利用は同じ作品の使い回し(契約の問題)、二次的著作物は翻訳・翻案など新たな創作を加えた別作品(第27条・28条の問題)です。
Q3. 広告用の写真を自社サイトにも使えますか?
・A. 契約次第です。許諾媒体が「広告のみ」なら、サイト掲載は範囲外の二次利用で、追加許諾・追加費用が必要になるのが原則です。
Q4. 著作権を譲渡してもらえば問題ないですか?
・A. 第27条・28条は特掲しないと譲渡されなかったと推定され(第61条第2項)、人格権は譲渡できないため不行使特約が必要です。肖像権等も別途残ります。
Q5. 契約書に必要な条項は?
・A. 利用範囲(4軸)・改変可否・クレジット・再許諾・対価・権利帰属・人格権不行使・第三者権利の処理の8点が基本セットです。
Q6. フリー素材にも二次利用の制限はありますか?
・A. あります。再配布・転売・ロゴ化などは多くの規約で禁止されており、規約の範囲を超える利用は有償素材と同じく許諾範囲外です。

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